統合型リゾート(IR)の要件が決まり、カジノ・IR関連株に注目か?


3月26日、政府はカジノを含む統合型リゾート(IR、Integrated Resortの略)施設の要件などを定める施行令(以下、「IR実施法施行令」)を閣議決定し、IR実施法施行令の一部が4月1日から施行されました。IR施設の要件が定まったことで、IR事業に参入する企業などの動きが加速すると思われ、再びカジノ関連株が物色の対象になるかもしれません。

IRとはカジノ、宿泊施設、国際会議場や展示会場(MICE施設)、商業施設を含んだ複合施設のことで、IR施設の設立を推進するため、2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「IR推進法」)が成立し、これを受けて2018年7月に「特定複合観光施設区域整備法」(いわゆる「IR実施法」又は「IR整備法」、本稿では「IR実施法」と呼びます)が成立しました。

今年の4月から一部施行されたのはIR実施法の要件を定めた「IR実施法施行令」です。法律では具体的な要件を定めずに、政令で定めることが多いため、「IR実施法」の具体的な要件はその政令である「IR実施法施行令」に定められています。

「IR実施法施行令」を受けて、カジノを含むIR事業に関係する企業の株式はふたたび株式市場の物色の対象となるかもしれません。建設業やゲーミング機器が思い浮かぶところですが、大規模な宿泊施設の運営、VR等によるコンシェルジュサービス、外国語による案内サービスを手掛けている企業にも注目が集まりそうです。

eワラントの対象原資産となっているカジノ関連銘柄としては次の銘柄があります。

大林組(1802): 2025年に開催が決定した大阪万博に関して、関西地盤の建設会社には追い風となることが期待。同社は大阪本店内に「大阪万博・IR室」を新設。

ユニバーサルエンターテインメント(6425):フィリピン・マニラにてカジノを含むIR施設を運営。

バンダイナムコHD(7832):カジノ用ゲーミング機器の製品開発で豪大手と提携し北米・豪州で展開するほか、マカオを拠点とする大手メーカーとも提携しアジア市場に展開。

オリックス(8591):IR大手の米MGMリゾーツ・インターナショナルと共同で大阪府と大阪市が誘致を目指すIR事業に参入。

コナミHD(9766):北米をはじめ全世界でゲーミングライセンスを取得し、ゲーミング機器およびカジノ・マネジメント・システムの開発・製造・販売・サービスを展開。

「IR推進法」ではIRの推進が、観光や地域経済の振興と財政の改善に資するものであるとしており、国として取り組む事案ですから、カジノ・IR関連株は国策銘柄と言えるでしょう。また、国内事業であることから海外の動向に影響を受けにくいテーマとも言えます。今後の「IR実施法施行令」の全面施行のタイミングでふたたびカジノ・IR関連株が物色されるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。