2月1日に日本と欧州連合(EU)のEPAが発効しました。EPAとはEconomic Partnership Agreementの略で日本語では経済連携協定と言い、特定の国同士または地域同士で約束される条約のことで、貿易や投資活動を促進するためのものです。
日欧EPAの発効により日本からEU市場に輸出される工業製品にかかる関税が将来的にはすべて撤廃されることになります。例えば、乗用車についてEPA発効前は税率10%となっていましたが、8年目に撤廃される予定です。自動車部品は貿易額に占める9割以上が即時撤廃されますし、一般機械、化学工業製品、電気機器についても貿易額に占めるおよそ9割が即時撤廃となります。日本からEU市場に輸出される農林水産品や酒類については、牛肉、茶、水産物等のほぼ全品目で関税が撤廃され、酒類のすべての関税も即時撤廃されます。
EUから日本に輸出される工業製品については、化学工業製品、繊維・繊維製品等は即時撤廃されますが、皮革・履物は現行で最高30%の税率となっており、撤廃されるのは11年目または16年目となっています。欧州の高級ブランド皮革品の関税撤廃はまだ先になりそうです。EUから日本に輸出される農林水産品や酒類については、コメが関税撤廃の対象から除外されており、麦・乳製品は関税の即時撤廃とはなりませんが、ワインが即時撤廃となっています。
産業界や株式市場などへの影響ですが、欧州向けの売上比率が相対的に高い企業には日欧EPAの発効は好材料と言えるでしょう。自動車に関しては乗用車の完全撤廃はまだ先なので完成車メーカーよりも欧州系完成車メーカーに部品を納品している自動車部品メーカーに恩恵がありそうです。ワインに着目すれば欧州産ワインを輸入している商社、レストランなどには輸入コストの低下という恩恵がありそうです。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。