株式市場は政策の不確実性を織り込みはじめた?


トランプ政権は発足当初からその政策の不確実性は指摘されているところですが、最近ではトランプ大統領がどんな発言をしても以前ほど大きく騒がれなくなった印象があります。経済政策の不確実性を指数化した経済政策不確実性指数(Economic Policy Uncertainty Index)という指数で見てもトランプ政権が発足した2017年1月にピークをつけてから不確実性は低下傾向にあります。


経済政策不確実性指数とは、主要な新聞から経済政策の不確実性に関する記事の数などから経済政策の不確実性を測定したものです。

経済政策の不確実性が増すと株式市場の変動が大きくなる傾向があり、市場に織り込まれている株式市場の変動を見るのにVIX(ヴィックス)という指数があります。VIX(ヴィックス)とは、シカゴ・オプション取引所がS&P500指数を対象とするオプション価格をもとに算出している予想変動率(ボラティリティ)に関する指数です。

さて、図にあるように過去においては経済政策不確実性指数とVIXの上昇がほぼ同時期に起きていましたが、トランプ政権発足時には経済政策不確実性指数とVIXに乖離が見られ、株式市場には不確実性が織り込まれていないようでした。しかし、今年に入り、VIXは上昇傾向にあり、この乖離は埋まるかもしれません。最近では、トランプ政権のティラーソン国務長官が31日に辞任する予定であり、米国家経済会議院長を務めたコーン氏が政権を離れるなど、米国の政策に対する不確実性は以前より増していると考えられますので、VIXは上下変動を繰り返しながら、水準としては上昇していく可能性があると思われます。

VIXは株式市場の下落時に上昇する傾向があることから恐怖指数と呼ばれており、VIXが水準を切り上げていくとすると、今後は株式市場の乱高下が起こりやすくなるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。