一般に中央銀行による資産買い入れ、いわゆる量的緩和政策は株式相場においては買いの材料と言えます。株価が歴史的な高水準にあるのは量的緩和政策のおかげといえるでしょう。その一方で米国の中央銀行に当たる連邦準備制度(Fed)は保有資産の縮小しつつあり、量的緩和政策からの脱却を徐々に進めています。また、欧州中央銀行(ECB)も続けてきた資産買い入れを今年から減額する方針を示しており、9月には終了する予定です。
図1はFed、日銀、ECBの資産残高を円換算して比較したものです。2018年1月時点でFedが約485兆円、日銀が約525兆円、ECBが約609兆円、合計約1,619兆円という規模です。なお、FedとECBの資産額は上下に振れていますが、これは為替レートの変動によるものです。Fedの資産残高の減少が顕著ですが、米ドルベースでも11月、12月、1月と3ヵ月連続で減少しています。ECBは2017年以降のユーロ高の影響で円換算ベースの資産が増えています。
日米欧の中央銀行の資産残高の合計と日経平均株価の関係を見たのが図2です。まさに「緩和は買い」ということが分かるかと思います。詳細は割愛しますが、筆者の分析では、資産合計額が小さいと日経平均株価の水準は低く、資産合計額が大きいと日経平均株価の水準が高くなるという関係性が見られます。と言うことは、量的緩和が終了し、資産額が増えなくなると株価の上値は重くなることが予想され、さらに資産額が減少に向かうと株価は下落していくことが予想されます。日米欧の中央銀行で唯一緩和継続スタンスを継続しているのは日銀です。今年の日銀の金融政策の動向には注意が必要でしょう。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
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