ニューヨーク連銀が2月13日に公表した2017年第4四半期の米国の家計における負債残高は13.15兆米ドルとなり、データを取得できる2003年以降で過去最大を前四半期に続いて更新しました。自動車ローンが1.22兆米ドルと2003年以降で最大、学生ローンも1.38兆米ドルと2003年以降で最大となっています。第4四半期はモーゲージやクレジットカードに係るローンの増加率が高くなっています。
家計の負債残高の内訳として一番大きいモーゲージローンは2008年第3四半期に9.29兆米ドルを記録しています。モーゲージローンといえば2007年から2008年に表面化したサブプライム問題です。これは債務返済能力の低い層(サブプライム)向けのローンの焦げ付きでした。当時は不動産価格の上昇を背景にサブプライム向けの不動産を担保とするモーゲージローンが積み上がっていましたが、不動産価格の下落によってモーゲージローンの延滞や債務不履行が増え、株価の下落を伴い金融危機に発展していきました。
2017年第4四半期のモーゲージローンの残高は8.88兆米ドルなのでサブプライム問題が表面化したときに比べるとまだ低い水準ですが、徐々に増えてきています。また、ローンの延滞状況については30日以上の延滞の割合はさほど増えていないものの、2016年第4四半期から債務不履行の割合が若干増加傾向にあります。
2008年当時はあまり問題視されなかった自動車ローンや学生ローンの残高が増えているのも気がかりです。先の金融危機前の負債残高を超えていることには引き続き注意が必要かもしれません。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
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