ニューヨーク連銀が14日に公表した2017年第3四半期の米国の家計における負債残高は12.96兆米ドルとなり、データを取得できる2003年以降で過去最大となりました。特に自動車ローンが1.21兆米ドルと2003年以降で最大、学生ローンも1.36兆米ドルと2003年以降で最大となっており、自動車ローンと学生ローンが負債残高の増加の主な要因です。
過去のバブル崩壊には過剰な負債が背景にありました。2007年から2008年に表面化したサブプライム問題は債務返済能力の低い層(サブプライム)向けのローンの焦げ付きでした。当時は不動産価格の上昇を背景にサブプライム向けの不動産を担保とするモーゲージローンが積み上がっていましたが、不動産価格の下落によってモーゲージローンの延滞や債務不履行が増え、株価の下落を伴い金融危機に発展していきました。
家計の負債残高の内訳として一番大きいモーゲージローンは2008年第3四半期に9.29兆米ドルを記録しており、2017年第3四半期は8.74兆米ドルなのでサブプライム問題が表面化したときに比べるとまだ低水準という見方もできます。しかし、モーゲージローンは増加傾向にありますし、当時はあまり問題視されなかった自動車ローンや学生ローンの残高が増えているのも気がかりです。先の金融危機前の負債残高を超えていることには注意が必要かもしれません。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
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