デザイナーが企業に貢献するための役割は様々あります。当のデザイナーも「この業務は本来デザイナーの仕事なのだろうか?」と自問自答しているほどです。そんな状態ですので、デザイナー以外の人が「デザイナーは何をしてもらう人々なのか」を確定させることは非常に難しいと思います。しかしこの部分が曖昧だと、自社内デザイナーのうまい扱いだけでなく、外部のデザイン事務所に仕事を依頼する際にも手間取ることになってしまいます。
これを解決する一つの方法が、デザイン系の大学の卒業制作展を見に行くことです。 制作物をみると単純に「美しい」「愉しい」と感じると思いますが、 それ以外にも「こんなことまでデザインと捉えているのか」と気づきが多くあるはずです。そこから自社にとってデザイナーにやってもらうと嬉しい事柄も見つかるかもしれません。
先だって1月に武蔵野美術大学の卒業制作展に行ってきました。とあるゼミの学生は市場調査と分析がしっかりとなされていました。たとえば「SNSデザイン」の制作ですと、現行のSNSに対してユーザから不満を洗い出して課題化したり、ユーザの使用シーンからどういったデザインが最適なのかを導いたり、社会問題からの気づきを盛り込んだり、それらすべてを統合し、あるべき姿を提示した上で、論理的に「美しい」「愉しい」画面のデザインを実施しています。
「美しい」「愉しい」という、いわゆる「絵を描く」「形を造る」に比重が置かれていた美術大学でさえも、今ではそれだけではなくなってきているのです。工業系のデザイン学部の卒業制作展はさらに新しい発見が多くあるでしょう。
1月から3月にかけて各大学が卒業制作展を開催しています。 こちらのホームページを見ると検索することができます。
■卒展
https://school.japandesign.ne.jp/
(Betonacox Design)