4月後半の日経平均株価は絶好調で、終値の月中安値15,715円36銭から21日の終値は1,600円以上の上昇となっています。株式市場は年初の総悲観ムードから一変し、もしかしたら底入れしたかも?とか、18,000円も超えてくる?という強気の予想も復活してきているようです。その一方でこの上昇は短期的な戻りであって、中長期的には下落トレンドにあるという見方もできそうです。特に今年の日経平均株価の値動きは2008年と似ているという指摘もあり、過去を知る投資家からは慎重な見方も出ています。
投資格言にデット・キャット・バウンズ(Dead Cat Bounce)というものがあります。直訳すれば死んだ猫も高いところから落とせば弾む、ということで、相場が下落トレンドにあっても一時的に反発することを指しています。今はまさにこの時期にあるのかもしれません。図にあるように今回の下落トレンドは2015年の夏から始まっており、2007年から2008年の流れに似ているものを感じます。2007年はサブプライムローン問題が懸念されていた頃でしたが当時は、なんだか危なそうだけど軟着陸するでしょう、という楽観的な見方もあったかもしれません。結局は2008年9月のリーマンショックにつながるものでした。2007年の頃はサブプラムローン問題がどこまで波及するのか予想しにくかったこともありますが、相場が下げた理由はよくわらないけど「サブプライムローン問題への懸念」、「質への逃避」、「不透明感」というキーワードによる説明が多かったような印象があります。
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このよく分からないけど、明確な材料がないけど売られる、という状況は今年に入ってから起きている株式市場の下落の特徴です。年初から下落したので2008年と重ね合わせてみると似通った値動きに気づきますが、事の発端は前年から起きていたと思われます。2008年は2007年からのサブプライムローン問題が発端となりましたが、今年は2015年からの中国経済減速問題と原油安による産油国ファンドによる換金売りや米国のシェールオイル関連事業への融資や投資の焦げ付きが懸念されます。
今年に入って米天然ガス掘削会社、チェサピーク・エナジーの破綻懸念が報道されていますが、この報道は2007年4月にサブプライムローンを手掛けていたニュー・センチュリー・フィナンシャルによる破産法申請を思い出させるものでした。ニュー・センチュリー・フィナンシャルの破産法申請は結局サブプライムローン問題の氷山の一角で、その後格付け会社によるローン債権の格下げ、大手銀行の損失、パリバショックからリーマンショックと連鎖していきました。今回はシェールオイル関連の懸念に加えて中国の景気減速懸念もあります。2008年の再現にならないことを祈りたいところです。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。