デザインの話題「SUBACO」




システムバスのメーカーといえば、LIXIL(旧INAX) / TOTO / Panasonic の3社だろう。LIXILは汚れが溜まりにくい排水口を開発し、TOTOは排水性が非常に高く柔らかい床を開発し、Panasonicはデザイナーに深澤直人を起用したことがあったりと、浴室メーカー達は激しくしのぎを削っている。

そんな大手3社とは違う我が道を進むシステムバスメーカーが和光製作所であり、ブランド名「SPIRITUAL MODE」である。通常のシステムバスも大手には真似できない潔さが美しいデザインを形成しているのだが、中でも特異なのが「SUBACO」(http://www.spiritual-mode.com/products/subaco/index.html)である。SUBACOは浴槽/トイレ/洗面/キッチン/洗濯、そして居住スペースにもなるロフトが一体となった水回りユニットであり、これ一台で水回り設備を完結させることができ、間仕切りが少なくなり、非常にスペース効率がよくなっている。またビジネスホテルのような安さを求めただけの三点式などとは違いモダンで美しいデザインに仕上げられ、機能美と造形美の両方を備えている。

SUBACOのような設備を統合する提案はずいぶんと昔から存在していた。古くは1968年にデザイナー梅田正徳が「可動供給装置」という水回り設備を一体化した提案で若手デザイナーを対象とした第一回ブラウン賞を受賞している。梅田氏はミラノの狭いワンルームでの住まいから反骨的にこの提案をし、またNASAの映像を見て格納する機構なども考えつき、当時において未来感が漂うデザインとなっており、やはり機能美と造形美を備えたものであった。

従来からある提案を、しっかりと現代日本に適合させ実現させた「SUBACO」も、発売からずいぶんと時間が経っている。三点式のユニットバスが普及するきっかけは1964年の東京オリンピックと言われているが、2020年の東京オリンピックを見据えてさらなるグレードアップを個人的には期待している。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。