今月10日付けの eurostat newsrelease によると、2014年の欧州連合(EU)28ヶ国のエネルギー最終消費量に占める再生可能エネルギーの割合が16%に達したとのこと。これは、統計可能な最初の年である2004年の同8.5%から概ね2倍。
EUは、2020年での最終エネルギー消費に占める再エネ割合を20%にすること目標として掲げている。(更に、2030年では少なくとも同27%との目標も掲げている。)
( eurostat newsrelease 10 February 2016 )
最終エネルギー消費に占める再エネ割合が高いのは、順にスウェーデン(52.6%)、ラトビア(38.7%)、フィンランド(38.7%)、オーストリア(33.1%)、デンマーク(29.2%)。
イギリス、フランス、オランダなどは、自国で定めた目標の達成にはまだまだ遠い位置にいる。風力・太陽光の導入を先行的に促進してきたドイツやスペインも、自国で定めた目標の達成にはまだ距離がある。
EU28ヶ国のうち9ヶ国が、自国で定めた2020年目標を既に達成している。現在までの傾向から予想するに、EU全体の再エネ目標は達成すると見込まれる。
( eurostat newsrelease 10 February 2016 )
2003〜13年でのEU28か国の再エネによる発電電力量の推移と、2013年でのEU28ヶ国の再エネ発電電力量の割合は、それぞれ次の通り。
Electricity generated from renewable energy sources, EU-28, 2003–13
( eurostat Statistics Explained )
Proportion of electricity generated from renewable sources, 2013 (% of gross electricity consumption)
( eurostat Statistics Explained )
過去から現在までの経過を見ると、水力が10〜12%で安定的に推移してきており、バイオマスと風力が徐々に伸びて直近では合計10%、太陽光は直近で3%程度となっている。地熱は1%未満のまま。
欧州における今後の再エネの開発動向を考えると、今後は、バイオマス・風力・太陽光が伸びていくと見込まれる。
その際、再エネ導入に係るコスト負担の軽減について、より一層の政策的配慮が必要になることも想像に難くない。欧州平均で見ても、欧州で風力や太陽光の導入を特に推進してきたドイツなどを見ても、米国に比べて明らかにエネルギーコストは高い。この点における日米欧州間の産業競争力は、明らかに米国の一人勝ちとなっているのが今の実情である。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。