2015年8月28日に大阪、9月4日に東京でデザイン人間工学の活用事例の報告会が開催された。デザイン人間工学とはデザインと人間工学を一体化し、相乗効果をあげたものである。この分野では製品やサービスを生み出すにあたり、第一に顧客満足が上げられ、それを実現するためデザイン(感性やブランド)だけでなく人間工学(使い勝手や体感、安全性)も重要な要素として扱っている。デザインはデザイナーの感性で生み出されるものあり、人間工学は実際のユーザの調査などから生み出されるものであり、両者をうまくミキシングすることで、より魅力的な製品やサービスが生み出される。
東京での報告会では、大学以外にも(株)HAL、(株)島津ビジネスシステムズ、(株)レノボ・ジャパン、(株)ライオンといった企業からの口頭発表もあり、実務に則した事例も多く聞くことができた。それら報告の内容は大きく3つに分類することができた。
①デザイン決定に直結するユーザ調査の方法事例
ユーザ調査は闇雲に行っても、その結果がデザインにうまく活用できるわけではない。例えば、ユーザの製品やサービスにおける習熟度によって、デザインの方向性が大きく変わることは周知されており、その習熟度の調査方法といったようなデザインに直結する情報を調査する方法論の報告がいくつかあった。
②ユーザ調査からデザインまでの一連の事例
実際にユーザ調査を行い、その結果をデザインに反映させるといったデザイン人間工学の一連の流れの報告がいくつかあった。
③デザイン人間工学を実務に落とし込むマネージメント事例
1や2のような事例を実際に企業で行っていくための工夫やノウハウといったマネージメントの報告がいくつかあった。
今は、モノではなくコト、というように体感を生み出すUXデザイン(User Experience Design)が注目されている。モノと違い、コトはユーザの深層心理をよく見る必要があり、デザイン人間工学のようにユーザに寄り添い、ユーザを知ってデザインすることが不可欠になってきている。デザイン人間工学はこれからますます注目される分野になるだろう。
デザイン人間工学報告会 http://designergonomics.jimdo.com
(Betonacox Design)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。