中国の株価下落が世界の株式市場のリスク要因として意識されている。これまで日本企業は中国を単なる製造工場ではなく一大消費地としても注目し、多くの日本企業が進出した。このような企業の株式を中国関連銘柄とよび、日本株投資における有望な投資先として関連する指数や投資信託が登場した。しかし今年の6月以降中国の株式市場が暴落を始めると、中国関連銘柄は有望な投資先というよりも中国の影響が大きい危険な投資先としてみなされるようになってきたように感じる。
日本の企業にとって中国は事業所、投資先、調達元、顧客、中国に進出している企業への支援業務なども含めると、中国と全く関係のない日本企業を探すのはむしろ難しいかもしれない。しかし、中国リスクを意識せざるを得ない投資家の立場としては中国の株価暴落に影響を受けにくい銘柄を選別しておくことは有用だろう。そこで今回は東京証券取引所上場の500銘柄を対象に中国株感応度を調べてみた。
このランキングは2015年9月10日を起点とする過去1年間で、上海総合指数の変動の影響を受けにくかった上位10銘柄である。具体的にはTOPIX500構成銘柄の株価の上海総合指数を説明変数とする回帰分析の決定係数が低い銘柄を並べている。分析においては日次のデータを用い、配当落ちを考慮していないのでかなりざっくりとした分析である。
ランキングからは医薬品のランクインが目立つが、伝統的にディフェンシブ銘柄と分類される特色が出ていると思われる。意外だったのは中国関連株の代表格と思われるリコーや東京エレクトロンなどが上位に含まれており、経験則とは若干異なる結果となっている。これは中国の経済減速の影響は多少あったかもしれないが、他の材料が株価を動かしたのかもしれない。
このランキングは過去の話であり将来の投資成果を保証するものではないこと、株価の変動を上海総合指数の変動で説明しにくいという意味であり、上海総合指数が下落しても株価が上昇する(その逆も含めて)ということを意味するものではないことには注意が必要である。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。