今月15日、東北電力は、福島県南相馬市の原町太陽光発電所(1,000kW;敷地面積2万m2)の営業運転を開始した。東北電力の発表によると、原町太陽光発電所は原町火力発電所の構内に設置されており、年間約105万kWhの発電量を見込んでいる。
これについて、「一般家庭約300世帯分の年間使用電力量に相当」し、「CO2排出量は年間620トン(一般家庭約110世帯分の年間排出量に相当)削減できる見込み」とある。後者はさておき、前者の言いぶりは適切ではない。不安定電源である太陽光発電による発電量に関して、「一般家庭○○○世帯分」という表現は妥当ではない。わかりやすさを追求しても、不正確な知識が拡がってしまっては逆効果だ。こうした言い方はもう止めるべきとも思うが、せめて例えば「単純な総発電量で、一般家庭○○○世帯分」といった具合に修正していく必要がある。
以下の写真(出所:東北電力HP)は原町発電所の全景で、写真の下方にあるのが太陽光発電所、その上方に隣接しているのが石炭火力発電所(1号機100万kW・2号機100万kW;敷地面積153万m2)。これを見ると一目瞭然だが、電源として安定な石炭火力発電2,000,000kWと、電源として不安定な太陽光発電1,000kWを、視覚的に瞬時に比較することできる。単位面積当たりの発電能力だけ見ても、太陽光は石炭の約2万6千分の1しかない。
電力産業の雄である電力会社が設置するものでさえ、化石燃料と再生可能エネルギーの間には、このような大き過ぎるギャップがある。原子力・化石燃料による発電と、太陽光・風力など不安定な再生可能エネルギーによる発電は、全く別モノと捉えていく必要がある。
原子力・化石燃料のライバルは、原子力・化石燃料であって、再エネ(太陽光・風力)ではない。
再エネ(太陽光・風力)のライバルは、再エネ(太陽光・風力)であって、原子力・化石燃料ではない。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。