2015年の海外投資家は日本株を売り越し


東京証券取引所が22日発表した投資部門別売買状況によると海外投資家は1月第2週は日本株を4,504億円売り越していたことが分かった。前週の第1週は4,349億円の売り越しだったので今年に入ってから累計8,853億円の売り越しだ。年初は日本株が急落したが、海外投資家の日本株売りが多かったことが要因の1つになっていたと考えられる。経験則ではあるが、海外投資家が日本株を売り越すと日経平均株価やTOPIXなどの主要株価指数は下げることが多い。これは日本株市場における海外投資家の売買シェアが大きいためと考えられる(東京証券取引所が昨年発表した平成25年度株式分布状況調査結果をみると外国法人等の株式保有比率は3割で個人や事業法人よりも大きい)。近年は海外投資家の売買シェアが高まっているため海外投資家の動向は日本株相場を見る上で欠かせないものとなった感がある。

昨年1月の日本株市場は大きく下落したことを憶えていらっしゃる方もいるかもしれないが、下落の背景にはやはり海外投資家の売りがあった。2014年1月第1週から第4週までの海外投資家は1兆1,696億円の売り越しだったのだ。ただ昨年は10月以降に買い越したために年間を通じては買い越しだった。筆者の集計で2012年は2兆8,264億円の買い越し、2013年は15兆1,196億円の買い越し、2014年は8,527億円の買い越しとなっており、海外投資家は日本株をまだ保有している。日本株に上昇期待を持ってくれていると考えることもできそうだ。

今年は前述の通り8,853億円の売り越しとなっている。この売り越しが一時的なものなのか、今後も続くものなのかはまだ判断できないが、アベノミクスが始まったころから海外投資家が日本株を買い、保有し続けていることから察するに、海外投資家は日本政府の成長戦略に期待して日本株を保有しているのだろう。このまま海外投資家が日本株市場から撤退してしまうのか、それとも買い増して日本株の上昇の一助となるのか、今年は政府の成長戦略が問われる年になるだろう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。