今月7日の厚生労働省の発表によると、学童保育(放課後児童クラブ)の状況は次のとおり。
○登録児童数:93.6万人(前年比4.7万人増)
○放課後児童クラブ数:2.2万か所(前年比600か所増)
○利用できなかった児童数(待機児童数):約1万人(前年比1300人増)
○夕方6時を超えて開所しているクラブ:1.4万か所(全体の3分の2)
○小学校内で実施するクラブ:1.2万か所(全体の2分の1)
○小学校内で実施するクラブのうち、同一の小学校内に放課後子供教室があるか所数:4400か所(全体の3分の1)
これまでの学童保育の待機児童数などの推移は、下の資料を参照されたい。待機児童数は平成19年をピークに平成23年までは減少したが、翌24年から再び増加に転じている。
今回の調査では、学童保育の数は2.2万か所、登録児童数は93.6万人で、いずれも過去最高。ただ、待機児童数は前年比1300人増の約1万人。
政府は学童保育について来年度から平成31年度末まで、新たに30万人分の定員を増やす方針だが、この調査結果を見ると目標達成はとても期待できない。
来年10月に予定されている消費増税(税率8%→10%)でにおいても、学童保育に手厚い予算配分をしよう!とはまったく聞こえてこない。
親が共働きの場合における学童保育の希望者は増えている。小学校入学後に放課後の預け先が見つからない「小1の壁」は大きな社会問題。
消費増税の分の税収は、社会保障財源に充てられることになっている。だが、その内容は年金・医療など高齢者向けに偏重している。もともと配分額の少ない子ども子育て対策にあっては、未就学児童の保育向けなどには若干配分される予定だが、学童保育への配慮は殆ど期待できない。
少子高齢化で膨れ続ける高齢者向け予算。昨日の政府関係機関の発表では、平成24年度の社会保障給付費が108.6兆円になったのとこと。5割は年金、3割が医療、残り2割が介護などとなっている。年金や医療に充てた費用のほんの少しだけでも子ども子育てに振り分ければ、かなりの金額になり、かなりの保育対策が打てる。
今後当面の政治の役割は、高齢者一人当たりの予算配分を減らし、現役世代・子ども一人当たりの予算配分を増やしていくことだ。少子高齢社会における福利厚生の配分のあるべき姿とは、そういうものであるはずだ。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。