東京証券取引所が発表した9月第4週(9/22-9/26)の株式売買状況は個人が8月第1週以来の買い越しとなり、買い越し額は340億円だった。海外投資家は4週連続の買い越しで買い越し額は659億円であった。海外投資家が日本株を買い持ちしている間は日本株は底堅く推移すると見ていたが、29日以降、日本株を買い支えてきた海外投資家の日本株売りが始まった可能性がある。
ロイターの報道によると、外資系証券経由の注文状況は29日以降5日連続で売り越しに転じており、しかも売り越しの株数も増加傾向にある。日経平均株価は29日は上昇したが、30日、1日、2日と続落し、2日は前日比420円を越す大幅な下げとなった。具体的な売買代金の情報は9日に東京証券取引所から発表されるまで分からないが、海外投資家は売り越しに転じた可能性が高い。
ところで、海外投資家が日本株を買うときは、米ドルなど自国の外貨を売却して日本円を買ってから日本株を買うので、外貨に対して円安が進行すると保有している日本株が上昇しても為替で損失が出てしまう。そこで海外投資家は通貨先物取引などで円を売り建て、円安になったときに利益が出るポジションを組み合わせることが一般的だ。アベノミクスで円安が加速した背景には海外投資家の日本株買いにともなう日本円の売り建てによるものも大きい。
米国が利上げを実行すると米国株にはマイナスだ。海外の年金基金など大口投資家は利上げに備えた資産配分の見直しを行い、10月以降、米国の小型株や彼らにとっての外国株である日本株、新興国株への投資配分を低くした可能性がある。海外投資家が日本株の売却を始めると、売り建てていた円のポジションも外すことになるため、円の買い戻しを伴うことになる。海外投資家は2013年日本株を約15兆円買い越している。これまでのところ目立った利益確定の売りは出ていなかったが、潜在的な日本株の売り圧力は大きいため株式相場と米ドルのさらなる下落に警戒したい。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。