海外投資家は日本株売りに回ったのか?すぐに保有株を売らないと・・・、と思った投資家もいらっしゃるかもしれないがちょっと冷静に見てみる必要がありそうだ。
東京証券取引所の2市場投資部門別売買状況によると、8月第4週の日本株は海外投資家が622億円の売り越しとなり、8月第1週から第4週の累計は3925億円の売り越しとなった。個人投資家の8月第1週から第4週の累計は112億円の買い越しだった。
2014年1月第1週から8月第4週までの期間でみると、海外投資家は8214億円の売り越し、個人投資家は1月第1週から2月第2週まで買い越していたが、8月第4週までの期間でみると累計8584億円の売り越しとなった。年始はNISA口座での買いが多かったものと思われる。
東京証券取引所における海外投資家の売買シェアは大きく、海外投資家の売買動向が市場に与える影響は無視できない規模になっていることは投資家の間では良く知られている話だが、今年の海外投資家が売り越しになっていることから今後の日本株に懸念を持たれる方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、心配するには時期尚早だといえる。実は2013年に海外投資家は15兆円以上日本株を買い越しており、8214億円の売り越しはその買い越し額の5%程度にしか満たない。つまり、海外投資家は日本株に見切りをつけているわけではなく、むしろ上昇を期待して保有してくれていると思ってよいだろう。
その背景にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針見直しによって日本株に年金マネーが流れ込んでくるという期待があること、政府の成長戦略によって内需拡大が期待できること、日銀が追加緩和することによって株価を支える可能性が残っていることなどが挙げられるだろう。個人投資家は2013年も2014年も日本株を売り越しているが、海外投資家が保有を継続している間は日本株の保有を継続しておいてもよさそうだ。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。