今後ますます少子高齢化は進む。だから、家族を介護するために職を持てない人々も同時に増えていくだろう。平成26年度版男女共同参画白書では、下の図表にあるように、介護時間が「ほとんど終日」の同居の主な介護者割合(男女別)が掲載されている。
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これを見ると、介護時間が「ほとんど終日」の同居の主な介護者の7割強が女性で、全体の3分の1以上を要介護者の妻(配偶者)となっている。女性よりも男性の方が平均寿命が短いので、夫婦間の“老老介護”に係る負担は、夫(男性)よりも妻(女性)の方に偏重している。
介護に当たっている者の立場について、女性では「子の配偶者」である場合が17%いるが、男性では「子の配偶者」である場合は0.3%しかいない。だからと言って、「子の配偶者」である男性(子の夫)に対して、妻の親(義理の親)の介護にもっと参加すべきとの提言はできるものではない。
介護政策に関する普遍的な思想は、家族ではない他人、即ち介護サービス事業者に対して家族(親、配偶者など)の介護を委託することを良しとすることだ。自ら喜んで家族の介護に勤しむ人は別として、一般的には、家族の介護は極力『プロ任せ』にできるような環境を拡げていく必要がある。
それは、費用対効果を極力上げるような介護保険制度にするよう、不断の見直しを怠らないことに他ならない。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。