ウクライナ東部でウクライナ治安当局と新ロシア派の武装勢力の衝突で死傷者が出ているという。事態は緊迫化しているが、米国の株式市場ではあまり材料視されていないようだ。紛争が始まったころは嫌気されて下げる日もあったが、いずれ事態は収束に向かうことを織り込んでいたのだろう。米国の経済指標は?FRBの早期利上げはあるのか?といったところが主な関心事になっているようだ。
実際、ウクライナ情勢は収束するだろう。クリミアを併合してウクライナ東部まで影響下に入れようとしたロシアも天然ガスをたくさん買ってくれるEUとの関係悪化は避けたいだろうし、米国やEUもロシアとの軍事衝突は避けたいだろう。米国、ロシア、ウクライナ、EUの4者会談を契機に事態は沈静化してくものと期待している。
これで株式市場の不安要因は消えた、と言いたいところだが、中国の社債デフォルト(債務不履行)問題が残っている。米国の投資銀行のレポートによると、今年の3~4月に中国の社債の償還日が集中したようだが、これから9~11月にかけても償還日が集中するようだ。社債のデフォルト(債務不履行)とは簡単に言えば借金の返済ができないことであり、デフォルトが相次ぐと企業倒産、景気低迷、社会不安にまでつながる大問題になる。
米国の株式市場はウクライナ情勢よりも中国関連の経済指標により敏感に反応するようになっている。9~11月のデフォルト懸念で夏場の株式市場は日米ともに冴えないかもしれない。かといってそんなに悲観しなくてもよいと思われる。中国発のデフォルトショックを経て株価が下がったところが株を仕込むチャンスといえるからだ。相場が危なくなったら現金に換えておき、相場の底で買えるようにしておく。ショックをチャンスにできるように備えておくのがよいだろう。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。投資判断は自己責任で。