相当以前から少子高齢社会に突入することがわかっており、かつ、現にそうなっている日本。少子化高齢化対策として様々な施策が打たれてきているが、高齢化はもちろんのこと、少子化も歯止めがかかっていない。
少子化対策の一つとして、育児休業を取得しやすい環境作りを官民挙げて行ってきていることになっている。図表に掲げる通り、女性の育児休業取得率は近年8〜9割で推移してきているが、男性の育児休業取得率は1〜2%でしかない。
実際の日本社会を俯瞰すれば、男性が育児休業を円滑に取得するには、助成金などの制度的なものよりも、職場の雰囲気などの精神的なものの方が要因として大きいと思われる。女性の育児休業取得の場合にも言えることだろうが、特に男性の育児休業取得の場合には尚更、職場の意識が大きく左右するのではないだろうか。
こうした『意識改革』を短期間で行うのは、予算編成や法律改正とは比較にならないほど難しいであろう。育児休業を経験した世代が社会の大多数を占めるようになるまで待たなければならないかもしれない。しかし、それでは遅過ぎるので、予算や法律による手当を可能な限りで実施していくしかない。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)