9月中旬からダウ平均株価が下落トレンドに転じた。9月は辛うじて前月比でプラスを維持したものの、10月3日の終値ベースで9月末から既に133.19ドル下げている。背景には米国の予算協議の行き詰まりによる政府閉鎖によって、景気後退への懸念が強まったことがあるようだ。政府閉鎖というのは予算が議会で成立しないことによって、米国政府機関の機能がストップすることだ。例えば、住宅ローンを借りようとしても、貸し手が借り手の収入などのデータを政府機関に確認することができず、ローン審査ができないといった事例が報道されている。この事例のように政府閉鎖は経済活動を停滞化させるため、株価を下落させる一因になっていると考えられる。
どうして政府閉鎖になってしまったのか?その原因は米議会の「ねじれ」状態にある。上院は与党民主党、下院は野党共和党が主導している。日本の国会も昨年の衆議院選挙までは「ねじれ」状態にあったが、「ねじれ」状態だと議案の審議が進みにくくなる。昨年末に米国で問題となった減税失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」問題もこの「ねじれ」によって引き起こされた。
ダウ平均株価に話題を戻そう。米国の「決められない政治」で売り!という状況はむしろ買いのチャンスかもしれない。この表はダウ平均株価の月別の平均騰落率だ。2012年12月末からさかのぼって過去20年間、10年間、5年間に加えて、参考に今年の月別騰落率も載せている。過去10年、5年を見ると10月と11月の騰落率はさえないが、12月は最近5年間で見ても過去20年間で見ても上昇していた。クリスマス商戦の影響だろうか。他の月では、伝統的なファイナンスの教科書で紹介されている、1月は経験則的にパフォーマンスが良いという「1月効果」は近年ではさほど見られず、もはや過去の話といえそうだ。むしろ3、4月の方が、12月同様に好調だった。この結果に従って、今年から来年にかけての投資戦略を立てると、10月下旬から11月にかけてダウ平均株価が下落したところで買い、年末か持ち越して来年4月に売るというのが良さそうだ。
投資する手段については、ダウ平均株価に直接投資することはできないが、ダウ平均株価に組入れられている米国の個別株を複数買ったり、ダウ平均株価に連動するタイプのETFを利用したりして投資すればよい。または、ダウ平均株価を対象としたコール型eワラントや米国株を対象としたCFDを利用することでも投資ができる。
昨年の「財政の崖」問題もなんだかんだで結局回避され、今年のダウ平均株価は過去最高値を更新するなど絶好調だった。政府閉鎖問題もこのまま放置されるはずもなく、近く解決されるだろう。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。