中国の経済減速が株式市場の懸念材料になっているが、最近メディアにもよく出てくるようになったのが中国のシャドーバンキング(影の銀行)問題だ。通常の銀行から資金を借りることができない信用の低い中小企業や地方政府がシャドーバンキングと呼ばれる他の金融業者を通じて投資家から資金を調達している。銀行からの正規の融資ではないので借り手の金利負担は銀行融資よりも重い。一方、投資家には高利回りの理財商品として売られている。経済成長下においては返済に問題はなかったのだが、経済成長が減速して返済が滞るようになると投資家に利払いができなくなり問題が表面化する。2007年から2008年くらいに米国で騒がれたサブプライムローン問題に似ていることから中国版サブプライムローン問題と呼ばれることもある。
このシャドーバンキング問題を発端とした中国発のバブル崩壊から逃れたいところだが、すぐ起こるかもしれないし、数年先になるかもしれない。歴史は繰り返すというので、米国のサブプライムローン問題のときはどうだったか思い出してみよう。2007年、サブプライムローン問題がメディアに取り上げられ始めた頃はまだ株価は堅調だった。その後株価が急落すると、メディアはサブプライムローン問題一色となり、その後発生したリーマンショックでさらに株価が下落するという流れだった。
今回のシャドーバンキング問題も要注意だ。過去の経験からメディアがシャドーバンキング問題を取り上げ始めたタイミングで避難できれば良いだろう。そこでメディアがどれだけシャドーバンキング問題を取り上げているかを、シャドーバンキングという言葉がどれだけ検索されているかに置き換え、Googleトレンドを使って調べてみた。
Googleトレンドでは特定のキーワードについて過去からどれだけ検索されてきたか人気度という指標で把握することができる。下の図はGoogleトレンドで「シャドーバンキング」を調べた結果に日経平均株価の水準を重ねたものだ。過去の事例と比較するため、キーワードに「サブプライムローン」と「リーマンショック」も加えている。図にあるように最近の「シャドーバンキング」のトレンドは2007年の「サブプライムローン」がトレンドに出始めたばかりの頃と似ている。
当時と同じような経路をたどるとすると、今後半年程度以内に株価の急落が起こり、その後メディアがシャドーバンキング一色に、さらにその後大型倒産を含む本格的なバブル崩壊、ということになるかもしれない。対策としては大部分の資金を長期の買い持ちポジションに回さないことだ。大部分の資金は現金で残しておいて一部の資金でリスクをとる、例えば現金80~90%+追証がない損失限定のレバレッジ商品10~20%といった具合で投資するのがリスク管理上よいだろう。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。