東証が発表している投資部門別売買状況によると、海外投資家は7カ月連続の買い越しとなり、特に4月は過去7ヶ月において一番買い越し額が大きく、その額は2兆6,827億円であった。海外投資家が日本株市場を牽引する格好になっている。
この図は個人、法人、海外投資家の買付額から売却額を差し引いたネットの金額を2012年1月からまとめたもの。この図からわかるように個人、法人、海外投資家で投資スタンスは異なっている。
※集計対象は資本の額30億円以上の取引参加者。三市場とは東証、大証、名証。内国普通株式を対象とし、優先株式等を含まない。立会外取引を含む。
株式市場の上昇が顕著になった昨年の衆議院解散後から3月までを見ると、個人は若干の売越しか買付と売却がほぼ同程度となっている。これは長期間塩漬けになっていた株を売却したり、今年からの信用取引の差金決済に関する規制緩和により短期の取引が増えたためであろう。法人は売越が続いており、これは事業法人が相場上昇に伴って持ち合い株の売却を進めたり、年金基金が運用比率が大きくなった日本株の一部売却を進めていたと考えられる。ただ、興味深いのは2013年の4月だ。例年5月の連休後に相場が弱含むことからか個人の利益確定と見られる売りが集中したが、個人と法人の売りを吸収して余るほど海外投資家の買いがあったのだ。
海外投資家は4月末の時点で7カ月連続の買い越しであるが、その額も増加傾向にあるのが特徴的だ。政権交代や大規模な金融緩和を受けて日本株への投資配分を拡大していることが背景として考えられる。円高修正により、海外から日本株を買いやすくなったこともあるだろう。買越し額も増えていることから年金基金など比較的長期の資金が入ってきている可能性も考えられる。 上昇を続ける日本株相場だが、どこまで上昇を維持できるのか、その疑問を解く鍵は海外投資家の動向にありそうだ。(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。